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新リース会計基準の中小企業への影響

「新リース会計基準」では、原則として「所有権移転外ファイナンス・リース取引」は売買処理(オンバランス)のみとなります。

ですが、下記のような重要性が乏しいと判断される一定の要件が満たされれば、新リース会計基準でもオペレーティング・リースの会計処理に準じ、賃貸借処理とすることができます。

・事業内容に照らし合わせた時に重要性が乏しく、1件あたりの維持管理費を除いたリース料総額が、300万円以下の場合。
・リース期間が1年以内である場合。
・購入した場合に費用処理するような、少額資産(少額リース取引)の場合。
(※賃貸借処理ができる要件の詳細・対象については細かく規定されています。公認会計士や税理士などの専門家へお問い合わせください。)

また、この「新リース会計基準」の対象会社は、主に上場企業やその子会社や関連会社、株主数が500以上の会社、会計監査人を設置する会社やその子会社、資本金が5億円以上、負債総額が200億円以上の大会社などと定められています。

上場企業の子会社などを除けば、上記の条件に該当しない中小企業には、「中小企業の会計に関する指針」により、改正後もオフバランスが適用されます。したがって、このオフバランスの廃止という「新リース会計基準」の影響は、中小企業にはほとんどないと言えるでしょう。

※ また、オペレーティング・リースでは、リース会計基準改正後も、賃貸借処理が認められています。さらに、すでに取引を開始しているリース取引については、旧基準のまま賃貸借処理を適用できます。

「新リース会計基準」に基づく「新リース税制」と消費税

変更後の「新リース会計基準」の適用に合わせ、リース取引関連税制も変更されました。
平成20年4月1日以降に締結されたリース契約には、平成19年度の税制改正が適用されています。


●「新リース税制」のポイント

税務上のリース取引は、新リース会計基準のファイナンス・リースと基本的に同じで、貸手から借手へリース物件が引き渡された使用開始時に売買取引が成立したとみなされます。このため、やはりリースの借り手が減価償却を行います。

しかし、「中小企業の会計に関する指針」適用や、少額リース取引などの賃貸借処理した場合は、減価償却費として取り扱いができ損金算入が可能という、中小企業に配慮した内容となっています。
この場合、原則として明細書の作成は不要です。

ですが、税務上の所有権移転外ファイナンス・リース取引における借り手側のリース資産の償却方法は、「リース期間定額法」が適用され、毎月リース料が変動し費用計上が一定額とならない取引の場合は、申告調整が必要となるため注意が必要です。

「リース期間定額法」とは、リース総額をリース期間の月数で割った額を、当該事業年度内のリース期間月数に掛け、それを各事業年度の償却限度額とする方法です。

「リース税額控除制度」は廃止となり、売買処理の場合にのみ、一括仕入税額控除が受けられます。

また、消費税に関しては、売買処理したリース取引の場合は固定資産の購入時と同様、リース取引開始の際に一括計上されます。このため、消費税はリース会社へは毎月のリース料と一緒に支払うこととなります。

新リース会計基準による貸手側と借手側の会計処理

●「新リース会計基準」のポイント

・賃貸借処理(オフバランス)の原則廃止

1993年6月17日付けの「リース会計基準」では、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」は「賃貸借処理(オフバランス)」と「売買処理(オンバランス)」の両方が認められていました。

しかし、2007年3月30日に改訂され、同年4月より適用された新リース会計基準では、このファイナンス・リース取引の所有権移転外において、賃貸借処理(オフバランス)が廃止となり、売買処理(オンバランス)のみとなります。

このため、借手は、これまで賃貸借処理として費用計上していたリース資産を、固定資産として計上し、償却処理する必要があります。
具体的には、貸借対照表に「リース資産・リース債務」として計上し、原則として損益計算書の耐用年数にはリース期間を当てはめ、残存価額をゼロとして減価償却費を計上します。

また、貸手側の具体的な会計処理方法としては、貸借対照表にリース投資資産を計上します。
そして損益計算書には、売上高と売上原価の計上をリース取引の開始時か、もしくはリース料の受け取り時にするか、または計上せずに利息相当額を各期に配分するかの方法を選択できます。

日本のリース取引の多くが、この「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に該当しています。
「新リース会計基準」は平成20年4月1日以降に開始される事業年度・連結会計年度より適用されました。
ただし、四半期財務諸表に関しては、平成21年4月以降開始の事業年度・連結会計年度からの適用となります。

「新リース会計基準」における改正・変更点~リース取引の分類

1993年6月17日付けの「リース会計基準」が、2007年3月30日に改訂され、「新リース会計基準」となりました。
今回は、その改訂内容と、「新リース会計基準」に伴う中小企業への影響などをまとめてみました。


●「リース取引」の分類

リース取引は、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類されます。

「ファイナンス・リース」とは、リース契約を途中解約できないもの(または解約できても、解約違約金の支払い義務があるもの)、さらにフルペイアウトとなるリース取引のことです。
また、下記のいずれかに該当する場合は、ファイナンス・リース取引に分類されます。

・リース料総額の現在価値が、見積購入価格の90%以上となる場合
・解約不能リース期間が、経済耐用年数の75%以上となる場合


「オペレーティング・リース」とは、上記のファイナンス・リース分類に該当しないリース取引のことです。
日本国内での「リース」と言われる取引は、ほとんどがこのファイナンス・リース取引となっています。


さらにファイナンス・リースは「所有権移転」と「所有権移転外」に分類されます。

「所有権移転ファイナンス・リース取引」とは、リースの契約上で下記のいずれかに該当する場合の取引形態です。

・所有権移転条項付である
・割安購入選択権付である
・特別仕様物件である

これらに該当しないファイナンス・リース取引が、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」となります。

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